日銀、金融政策の現状維持を決定 大手証券の見方「出口遠のく」「2%目標撤回」「影響は限定的」

日銀は19~20日の金融政策決定会合で現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策の維持を決めた。物価上昇率が安定的に2%に達する時期は「19年度ごろ」と従来予想から1年先送りする。

日銀が2013年4月に異次元緩和を始めて以来、先送りは6回目と物価上昇への道のりの長さが感じられる。大手の証券会社は日銀の動きをどう見ているのか。

■ゴールドマン「物価見通しの弱気さは想定以上、『出口』はさらに遠のいた」

日銀金融政策決定会合を受けてゴールドマン・サックス証券の日本経済チーフエコノミストを務める馬場直彦氏は20日付のリポートで「異次元緩和からの『出口』はさらに遠のいた印象だ」と注目する2点を上げた。

①消費者物価が2%に達する時期は2018年度ごろから19年度に先送りされたが、当社では物価目標の達成時期は次回の10月の展望レポート時に先送られると考えていたため、物価見通しに対する日銀の弱気さは想定以上だ。

②特に物価について「なお力強さに欠けており、引き続き注意深く点検していく必要がある」と、さらに下振れリスクが強調されている。

今後の金融政策に関しては「いくら2%目標が遠のくとも、マイナス金利の深堀をはじめとする追加緩和策は円急騰などのショックが生じない限りは選択されない」とみていた。

 一方で、「イールドカーブ・コントロール(YCC)やETF(上場投資信託)などの買入方針は各種インフレ率が安定的に1%程度まで上昇するまでは維持される」との見方を示し、「当社の物価予測に照らすと、少なくとも17年度中は現状維持」と予想した。

■野村、日銀は「2%インフレ目標撤回」の可能性も

日銀が20日公表した「展望レポート」では、成長率見通しが引き上げられる一方、物価見通しは引き下げられ、2%の物価安定目標の達成時期は前回の「18年度頃」から「19年度頃」へ先送りした。

野村證券の中島武信クオンツ・ストラテジストは20日付のリポートで、「2019年度においても2%インフレ目標が達成されない可能性が意識されている以上、日銀は現在の政策を当面継続する可能性がある」と指摘した。

一方、リスクシナリオとして「2%インフレ目標撤回」の可能性もあるとして、「総括検証から1年になる今年の9月かそれ以降に総括検証第2段が実施され、日銀が政策かインフレ目標のどちらかを変更するリスクには注意しておきたい」と述べている。

■SMBC日興、日銀「物価見通し下方修正のマーケットインパクトは限定的」

日銀の金融政策決定会合を受けて、SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは20日付のレポートで「大方の予想通りで、サプライズは無い」と指摘した。物価見通しの下方修正などについては「日銀が物価見通しを引き下げても、マーケットインパクトは限定的となろう。日銀予想が市場予想に近付いただけであり、市場予想が変わるわけではないからだ」とした。

先行きに対しては「日銀は今回物価見通しを下方修正したが、そもそも無謀な予想であり修正は必至であった。下方修正をしてもなお17年の+1.1%、18年の+1.5%という予想であり、まだ高すぎるように思われる。再度の下方修正があり得る」との見方を示した。

 

※この記事はQUICKがQUICK端末に配信するオプショナルメニュー「QUICKデリバティブズコメント」の一部を抜粋したものです。

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