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「日立株との交換も選択肢の1つ」、アクティビスト来日で仕掛ける心理戦

記事公開日 2017/7/7 15:46 最終更新日 2017/7/7 15:51 経済・ビジネス コラム・インタビュー 金融コラム

 日立製作所とアクティビスト・ファンドのエリオット・アドバイザーズとの間で心理戦が続いている。3日にエリオットのロンドン拠点で運用を担当するジョルジオ・フルラーニ氏が来日。日立が買収したイタリア鉄道大手アンサルドSTSの買収に関し弁護士や投資家などとの意見交換が目的だという。案件の問題点を指摘し買収価格の引き上げを求める立場の正当性を訴えている。

※ジョルジオ・フルラーニ氏

日立のSTS買収、エリオット「買収価格が不当に低い」

 エリオットが日立にアプローチを始めたのは、2015年2月に日立が決めたSTSの買収だ。エリオット側の主張は「買収価格は少数株主にとって不当に低い」というもの。理由は当時STSを保有していた伊フィンメカニカから、同時に取得したアンサルドブレダの事業価値を高く見積もり、相殺する形でSTSの企業価値を意図的に抑えたという点だ。
 STSは伊株式市場の公開企業である一方、ブレダは非上場企業。STS株の保有比率を100%に高めたかった日立は、TOB(公開買い付け)価格を抑えるために不正を働いたとエリオットは主張し、少数株主が不利益を被る案件としている。

 

さらにエリオットは伊裁判所も日立の不正を認定していると強調する。日立に見解を求めると「エリオットの主張が法廷で認められたことはなく、逆に複数回にわたって却下されている。日立は、常に法令に従い、事業を行ってきた」(ブランド・コミュニケーション本部、広報・IR部)とした。

 

 2016年1月~3月に日立が実施したSTSのTOBでは1株9.68ユーロが応募者に支払われた。エリオットを筆頭に複数の株主は価格が不服としてTOBに応じていない。
 来日したフルラーニ氏に適正価格を聞くと「少なくとも13ユーロ」と言い切った。ただ、その後に同氏はこう語り始めた。

STS株と日立株の交換も選択肢の1つ

 「全てを現金で支払わなくてもいいと思う。例えば、少数株主が保有を続けているSTS株と日立製作所の株式を交換(Swap)するのもオプション(選択肢)の1つと考えていいのではないか」

 エリオットは今年1月に突然、インターネット上に日立のSTS買収の問題点を指摘するサイトを立ち上げた。その中には上記コメントのような打開策は記されていない。改めてフルラーニ氏に「そのオプションは日立側へ正式に伝えたのか」と聞くと、「ノー。伝えていません」と明かした。

 

日立会長との面会求めるも、実現せず

 これまでエリオットは2度にわたり中西宏明会長へ書簡を送付。現時点で返信はないという。面会も求めたがその機会は実現していない。

 

 真っ向から主張が食い違う日立とエリオット。フルラーニ氏は「どのようなハッピーエンドを想定しているかと聞くのですか?まずは日立側が面談に臨むことが最初の1歩になると思いますよ」と明確なイグジット・ストーリー(出口戦略)への言及は避けた。

 

 日立がSTSの買収に乗り出してから既に2年が経過した。1月にサイトを立ち上げ7月に来日したエリオットは水面下による交渉の限界を感じているのかもしれない。
 日立は「日立の株主の利益に鑑み、適正価格以上での買取には応じるつもりはない」としていた。

 

【QUICKコンテンツ編集グループ:岩切清司】


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