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中国の不動産市場、「緊縮すれば死」を防げ! 連休中の住宅販売が急減

記事公開日 2016/11/1 12:38 最終更新日 2017/3/14 12:38 経済・ビジネス コラム・インタビュー 中国・韓国・アジア アジア特Q便

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします。 (※この記事は2016年10月24日にQUICK端末で配信した記事です。)

中国は一貫して計画経済を実施しており、政府は依然として多くの重大な経済活動の各所に介入している。しかし、政府による経済調整には、薬の処方を間違えたり、薬効が強すぎたりするという弊害がしばしば発生する。

緩和すれば乱れ、乱れれば緊縮し、緊縮すれば死んでしまう

中国人の間で政府の経済と投資市場の調整についての常套句がある。それは、「緩和すれば乱れ、乱れれば緊縮し、緊縮すれば死んでしまう」。つまり、中国人の投資に対する態度は成熟したものではなく、市場である種の投資商品への評価が高まると、冷静な判断もせずに一斉に同じ対象に投資をする。しかし、市場が過熱して政府が調整に乗り出すと、一気に谷底に落ちていく。

株式市場がまさにそれだった。最近、急速に過熱している不動産市場も、これと同じである。しかし、「緩和すれば乱れ」のあと、各地で不動産バブル抑制のため再び「乱れれば緊縮し」ということで、購入制限や住宅ローン制限が相次いで打ち出される。そうして「緊縮すれば死んでしまう」という歴史が繰り返される可能性がある。

中国政府のスローガンは「新常態」

中国経済は近年、成長が減速しており、中央政府はすでに早い時期から低成長率を「新常態」とするスローガンを打ち出し、経済成長に対する市場の期待を引き下げようと試みている。輸出という牽引力が不足する中で、不動産市場が経済成長を推進し、雇用を確保する重要な一環となっている。


(出所:QUICK)

このため、中国政府は昨年、供給面で過剰生産能力を削減する改革を打ち出すと共に、不動産市場で売れ残り物件の販売を大きく推進し、不動産市場への投資によって経済を刺激することを期待した。中央政府による売れ残り物件の販売奨励を受け、土地売却を主要な収入源とする地方政府は喜んでこの政策に合わせて住宅購入の制限を緩和し、銀行による住宅ローン提供を奨励。これによって、不動産市場で需要が拡大し、価格は高騰した。中国には投資対象が不足しており、また国民に投機心理が充満していることから、資金が相次いで不動産投機に投じられ、不動産市場のバブルがますます拡大した。

中国統計局の発表によると、過去1年で住宅価格が30%以上も上昇した中国の都市は少なくない。廈門、合肥などの「二線」都市(地方中核都市)では上昇幅は40%に達しており、異常な情況にある。しかし、不動産価格が上昇すると同時に、中国の一般市民の間では、住宅購入難に対する不満がますます高まっている。現在、中国の「一線」都市(主要大都市)、「二線」都市の不動産価格は、すでに現実的な購買力から大きくかけ離れている。特に若い世代ほど、住宅購入に希望が持てず、安住の手段がない。そうした若い世代がどうやって将来身を立てて家庭を作れるというのか--。こうして、このような不動産バブルが社会の不安定要素となっている。

最近、浙江省杭州市である新築物件の販売が始まると、購入希望者が先を争って押しかけ、押し合いの末に販売センターのドアを倒してしまうという場面の画像がネット上で広まり、大いに話題になった。これは、不動産投機の熱狂が異常な状況にまで高まっていることを示す場面として、不動産市場の狂乱に警鐘を鳴らすものとなっている。

中国各地方政府は住宅購入や住宅ローンを制限

各地方政府は、不動産従来は不動産市場の繁忙期だった「金九銀十(1市場過熱の危機に気付いており、10月1日からの中国の国慶節連休の間に、約10都市で住宅購入や住宅ローンの制限措置が打ち出された。不動産投機ブームを冷却化させようとする制限措置を打ち出す都市は、ますます増えている。市場で突然、調整の風が巻き起こると、年のうちでも販売が伸びる時期とされる9月・10月)」に突然失速した。多くの都市で不動産市場が急速に冷え込み、崖を転がり落ちるような取引件数の減少が発生したのだ。南京市では、国慶節連休中の住宅販売が前週に比べて60%近く減少。買い手が模様眺めに入っている。投機ブームが終息し、短期内に価格を釣り上げて売り抜こうという投機家の皮算用は、すでに通用しなくなっている。このため、資金を不動産市場に投入しようという意欲が低下しており、取引はさらに縮小している。

中国の多くの都市が相次いで調整政策を打ち出していることから、不動産市場はすでに熱狂から模様眺めに転じている。ただ、中国の株式市場のように、不動産市場にも「緊縮すれば死んでしまう」という現象が起きるかどうかは、さらに観察が必要だ。中国の不動産市場には膨大な在庫があり、消化する必要がある。しかし、もし不動産市場が再び寒風に見舞われることになれば、低迷はかなりの期間続くことが予想される。

(出所:中国統計局)

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