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中国、株価てこ入れの出口策を段階的に実施 課題は「国家隊」保有株の処分

記事公開日 2015/12/11 09:02 最終更新日 2018/1/10 10:08 経済・ビジネス コラム・インタビュー 中国・韓国・アジア アジア特Q便

※QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、香港の現地記者ジェスロ・オー氏がレポートします。※本記事は2015年12月4日にQUICK端末で配信した記事です。

規制緩和は自信の表れ

中国政府は今年7月、株式相場の暴落を阻止するべく「暴力的な相場てこ入れ」を行った。証券会社やファンドに共同で株式購入を命じて相場を下支えするように求めただけでなく、多くの行政的な措置を打ち出した。これらの措置には、新規株式公開(IPO)の一時凍結や証券会社に自己勘定取引で日次ベースでの買い越し(すなわち購入額が売却額を上回ること)を厳令したことなどが含まれる。しかし、最近、これらの「暴力的な相場てこ入れ」措置が次第に撤廃される兆しがある。その背景には、株式相場の先行きに対する中国政府の自信がある。
 中国証券監督管理委員会(証監会)はこのほど、IPOの審査・認可を再開して株式市場の資金調達機能を回復すると宣言した。これまでIPO再開は相場下落の口実とされがちだった。市場の資金をIPOに大量に持ち去られることを懸念する投資家がリスク回避で利益確定売りを出すためだ。しかし、今回の証監会のIPO再開宣言に対する投資家の反応は比較的に冷静だった。株式相場は急落せず、中国政府は「暴力的な相場てこ入れ」時の非常措置を徐々に取り消すことに対して自信を十分に強めた。
 その後、証監会は「証券会社の自己勘定取引に対する日次ベースの買い越し要求の取り消しに関する通知」を発表。7月の株価暴落期間に規定した、上海総合指数が4500ポイント以下の時に証券会社が日次ベースで買い越しを維持しなければならないとする要求を明確に撤廃した。この出口策が伝わった後も株式市場の動きは冷静で、証監会は市場運営を今後徐々に通常の状態へ戻すことへの自信を強めた。

出口戦略移行は織り込み済み?

 数カ月前、中国政府が出口策を準備中との誤報を中国メディアが報じてパニックを引き起こしたことがあった。中国政府はその後、証券会社やその他機関による株式市場での不法な活動の取り締まりに乗り出し、中国政府の出口策という偽りの情報を「悪意」で報じたとして国内の記者を取り調べた。しかし、中国政府の出口への動きが今回再び伝わったものの、金融市場はパニックとならず、人民元建てA株市場の動きは冷静だった。前回と今回の反応がこのように大きく異なったのはなぜか。それは、前回は市場心理が落ち着いておらず中国政府の出口策が伝わりパニックとなったものの、数カ月が過ぎて市場心理が次第に回復し、また政府の多くの景気下支え策を目にして投資家が相場の先行きに対する自信を取り戻したことで、政府の出口策を恐れなくなったためだと思われる。
 IPO再開と証券会社の自己勘定取引の日次ベースでの買い越し規定取り消しという、いずれも「暴力的な相場てこ入れ」のヘビー級の行政措置を撤廃することに中国政府は自信を持った。加えて、「場外配資」と中国語で称される、証券会社以外の融資会社からの融資について清算作業が完了したうえ、証券業界の不法な活動の取り締まりで成果が出たことで、株式市場が回復軌道を取り戻すことに対して中国政府は自信を充分に強めたようだ。もっとも、「暴力的な相場てこ入れ」では当初、上海総合指数の4500台回復を目標としていたが、現時点でわずか3500付近にとどまっている。なぜ政府は前倒しで「矛を収めた」のだろうか。それは恐らく、現実的な方法を考慮したためと思われる。中国経済は勢いが衰え、マクロ的な外部環境も芳しくない。加えて米国の利上げが迫る中、無条件で相場を4500台に押し上げることは現実離れしている。一方、株式相場は現在の水準で落ち着きを見せており、比較的に低水準にあるときに徐々に出口策を行えばそれに伴う動揺を減らすことができる。逆にむやみに4500台に押し上げて出口策に動けば多くの利益確定売りを招き、新たな株価暴落の危険を生み出す恐れがある。

上海総合指数

”国家隊”の退路確保がカギ

 今なお残る比較的大きな課題は、「暴力的な相場てこ入れ」時に証券会社や国有企業などの「国家隊(国家チーム)」が購入した株式だ。中国株式市場全体の時価総額の6%を占めると推測されるこれらの株式が出口策により市場に売り出されれば、動揺を招く恐れがある。このため、どのようにこれらの株式を売却するかについては慎重に取り組み、ゆっくりと時間をかけて秩序正しく進める必要がある。香港政府が1998年に海外資本の攻撃に対抗して行った株式市場介入を参考にすることも可能だろう。大量の資金を投じて株式を購入し、上場投資信託(ETF、当時の香港では「盈富ファンド」と呼んでいた)の形で証券取引所で売買する方法により機関投資家や市民に売却して持ち株を徐々に減らすという方法である。


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