業績期待指数は一段と悪化 電機など下振れ、医薬品は大幅改善(5月)

全産業DIマイナス33に悪化

株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2016年5月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでマイナス33となりました。前月から3ポイント悪化し、マイナスは6カ月連続。国内景気の先行き不透明感などを背景に、厳しい収益環境に置かれている現状が浮き彫りとなる結果となりました。

QUICKコンセンサス

QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。

DIがマイナスということは、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。

4月調査時点では2カ月連続のマイナス30で下げペースがやや足踏みとなり、今後の流れが注目されましたが、5月調査ではマイナス33と悪化しました。マイナス幅が拡大したことによって改めて足元の企業業績の悪さが浮き上がりました。

気になるのは、雇用がタイトな割に物価がデフレ気味であることです。4月の完全失業率は3.2%と極めて低水準ですが、4月の消費者物価指数(CPI)は「食品およびエネルギーを除く総合」でみても、前年同月比で0.7%の上昇でしかなく、総合もしくは生鮮食品を除く総合ではマイナス0.3%と、むしろデフレ色が徐々に濃くなっているのが分かります。

2017年4月に予定されていた消費税率の8%から10%への引き上げは、2年半先延ばしになる公算が大きくなっていますが、本来、政府・日銀の当初の目算では現時点でCPIは2%の上昇率に乗せているはずで、それが未達であることに、日本経済の現状の厳しさがうかがわれます。

機械・電機DIなどマイナス値拡大 医薬品は大幅改善

業種別DIをみると、16業種中、DIがプラスを維持しているのは「医薬品」「建設」「不動産」の3業種。医薬品は4月調査のDIが0でしたが今回、プラス64へと大幅に改善しました。また、「その他金融」は前月と変わらず0です。残りの業種はすべてDIがマイナスで、それぞれの動向は以下のようになります。

・マイナス値が悪化 ⇒「機械」「電機」「輸送用機器」「情報・通信」「小売り」「銀行」
 ・マイナス値が横ばい⇒「鉄鋼」
 ・マイナス値が改善 ⇒「食料品」「化学」「非鉄金属」「卸売」「サービス」

世界経済や円相場の動向が業績に左右する機械や電機・輸送用機器といった輸出関連企業の業績下振れ懸念が高まっています。また、鉄鋼は、4月調査と同様に5月もマイナス100に張り付いており、状況の厳しさがうかがわれます。

非製造業DIのマイナス値が拡大

次にDIを製造業、非製造業の別でみてみましょう。昨年5月以降の製造業DIは、
 5月・・・・・・ 12
 6月・・・・・・ 13
 7月・・・・・・ 6
 8月・・・・・・ 10
 9月・・・・・・▲5
 10月・・・・・・▲12
 11月・・・・・・▲18
 12月・・・・・・▲15
 1月・・・・・・▲11
 2月・・・・・・▲35
 3月・・・・・・▲48
 4月・・・・・・▲47
 5月・・・・・・▲47

これに対して非製造業は、
 5月・・・・・・・15
 6月・・・・・・・16
 7月・・・・・・・17
 8月・・・・・・・17
 9月・・・・・・・25
 10月・・・・・・・20
 11月・・・・・・・15
 12月・・・・・・・12
 1月・・・・・・・8
 2月・・・・・・▲3
 3月・・・・・・・1
 4月・・・・・・▲1
 5月・・・・・・▲9
となっています。

製造業は3月調査のマイナス48を大底に、4月、5月はマイナス47でやや下げ止まり感が出ています。急激に進んだ円高が一服し、1ドル=110円近辺で推移していることから、輸出業種を中心に、目先の安心感が浮上しているようです。

ただ、気になるのは非製造業のDIが急速に悪化したことです。やや下げ止まったとはいえ、製造業DIはこの1年でみても最低水準です。このまま製造業の景況感悪化が長引けば、その悪影響は非製造業にも波及する恐れがあります。製造業、非製造業ともにDIの悪化が続けば、デフレ警戒感はさらに強まり、個人消費の悪化、CPIの下落、企業収益の悪化など、日本の経済情勢は一段と厳しさを増す恐れがあります。

東芝が上方修正率トップに

3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップしてみました。上方修正率トップは東芝でした。東芝は会計不祥事に伴う経営危機を受けて大規模なリストラを進めてきました。経営資源の集中を進める中、主力である半導体事業に対する再評価の機運が高まったことが上振れ期待につながったようです。

予想純利益率の上方修正率(3カ月前比)の高かった上位5銘柄は以下の通りです。

銘柄名              修正率
 東芝(6502)・・・・・・・・・・・247.61%
 小野薬品工業(4528)・・・・・・・ 35.05%
 中部電力(9502)・・・・・・・・・ 28.46%
 鹿島(1812)・・・・・・・・・・・ 26.64%
 エーザイ(4523)・・・・・・・・・ 24.37%

一方、下方修正率ランキングの上位5銘柄は以下の通りです(▲は減少)。

銘柄名              修正率
 ジャパンディスプレイ(6740)・・ ▲53.12%
 エイチ・アイ・エス(9603)・・・ ▲52.15%
 東京ガス(9531)・・・・・・・・ ▲46.62%
 イオン(8267)・・・・・・・・・ ▲46.34%
 ソニー(6758)・・・・・・・・・ ▲46.08%

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