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注目されるマイナス金利効果の浸透度合い 円相場の行方注視(2月調査)

記事公開日 2016/2/29 12:46 最終更新日 2016/2/29 12:46 調査・サーベイ 国内 QUICK月次調査<債券> QUICK月次調査

債券市場を対象として毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<債券>」の2月調査を、2月29日に発表しました(証券会社および機関投資家の債券担当者140人が回答、調査期間は2月23~25日)。調査期間中の新発10年物国債利回りはマイナス0.065~マイナス0.005%で推移しました。

今回の調査は、日銀がマイナス金利政策を導入して最初になります。調査期間中の長期金利は、新発10年国債利回りまでが、完全なマイナス金利になりました。新発20年国債利回りは辛うじてプラスを維持していますが、0.5%台と過去最低水準で推移しました。

マイナス金利政策は効果なし?

日銀のマイナス金利導入を受け、市場参加者はその政策チャネルが何だったと認識しているのかを聞いたところ、「円安」が最も高く66%を占めました。次いで「イールドカーブの押し下げ」が20%で続きました。表向きは市場金利の低下を通じて企業向け貸し出しの増加などを促す効果を狙った対策ともみられていますが、「貸出増加」との回答は7%にとどまりました。

マイナス金利導入

もっとも、政策効果という点では、いささか疑問が残る形になりました。少なくとも、マイナス金利の導入が発表された直後から急激な円高が始まり、一時は1ドル=110円台まで円高・ドル安が進みました。また、日経平均株価も2月半ばにかけて急落する展開を余儀なくされました。

日銀が恐らく意図していたと市場参加者がみていた「円安もしくは円高阻止」が実現していない今回のマイナス金利政策ですが、市場の評価は大きく分かれています。全体の37%は「効果なし」と回答する一方、「今後、徐々に効果が出てくる」との回答は34%となり、「効果あり」は12%となりました。直近、先行きを問わず「効果あり」との回答が「効果なし」を上回ったものの、政策効果を判断するには時期尚早ということでしょうか。

マイナス金利効果

マイナス金利導入の狙いは、最終的には銀行による企業、個人への融資を促進させることで、景気や物価の上昇効果を狙うというものです。しかし、現状、日本国内における企業の資金需要は停滞しており、マイナス金利の導入だけで資金需要が高まるかどうかは、未知数です。

市場参加者は一段のマイナス金利拡大を予想

マイナス金利が実体経済に与える影響については評価が分かれていますが、そうした中でも日銀はさらなる追加利下げに果たして動くのでしょうか。黒田日銀総裁の任期中(2018年4月)のマイナス金利の政策運営をどう予想するか聞いたところ、「マイナス幅が最大0.2~0.9%へ拡大される」との回答が約8割に達しました。次に「マイナス幅が最大1%以上に拡大される」が10%となり、「ゼロないし、プラス圏に戻る」は4%にとどまりました。

原油価格の低迷や内外景気の先行き不透明感などを背景にインフレ期待は低迷が続いており、異例の金融緩和政策は一段と拡大し、さらには長期化が避けられないとみる市場参加者が多いことを示唆しています。

マイナス金利拡大

日銀の追加緩和にもかかわらず円高が急速に進む結果となっていますが、マーケットの観点から言えば、マイナス金利の導入国の通貨が大きく買われるのは合理性に欠けるのも事実です。実際、欧州中央銀行(ECB)は2014年6月にマイナス金利導入を決めましたが、その後、対米ドルに関しては大きくユーロ安が進みました。中長期的に円安トレンドに転じることになれば、株価に対するプラス効果も期待できます。

現在、ドル円相場は1ドル=113円台で推移していますが、上場企業の想定為替レートは115~118円。このままの水準が続くと、輸出企業を中心に業績の下方修正懸念が浮上してきます。それは株価にとってネガティブ要因ですが、逆に言えば、為替が円安方向に振れさえすれば、株価にとってポジティブな材料になるということです。それだけに、マイナス金利の効果が徐々に、為替レートに浸透するかどうかに注目が集まります。

政府・日銀のオペレーションに対する注目度が急低下

マイナス金利導入後の債券市場ですが、毎月定例の相場見通しの調査では、新発10年国債利回りの見通しは1カ月後から6カ月後までいずれもマイナス予想に転じ、1カ月後はマイナス0.021%、3カ月後がマイナス0.022%、6カ月後はマイナス0.023%となりました。このほか、5年物、2年物など中期債ゾーンについてもマイナス金利が予想されていますが、TIBOR3カ月物金利と新発20年国債利回りは辛うじてプラスゾーンの予想となっています。

10年債利回りチャート

今後、6カ月程度を想定した債券価格の変動要因で、注目度が上がってきているのは「短期金利/金融政策」です。昨年末時点での注目度は47%でしたが、2月調査では77%まで上昇してきました。逆に注目度が低下したものとしては、「景気動向」や「海外金利」などがありますが、「物価動向」への注目度が0%になりました。もはや2%のインフレ率達成に対する期待感が大きく後退したことの証左ともいえそうです。

同じく、今後6カ月を想定した投資主体の動向については、「都銀・信託銀行(投資勘定)」が1月調査の13%から18%へ上昇する一方、「政府・日銀のオペレーション」に対する注目度は67%から57%へと大幅に低下しました。マイナス金利が導入されたことによって、当面、日銀による大規模なオペレーションへの警戒感が薄らいだようです。

「金利のある債券」を求め債券投資意欲は継続か

資産運用担当者67人に聞いた当面の運用スタンスについてですが、現在、回答者が運用しているファンドについて、国内債券の投資比率が通常の基準に比べてどうなっているのかを聞いたところ、1月と比べて2月は大きな変化がみられませんでした。

一方、今後の投資スタンスについて聞いたところ、国内債券の組入比率について「やや引き上げる」との回答が1月調査の4%から2月調査では11%まで上昇しています。日銀がいくら追加緩和策を講じてもインフレ期待はなかなか高まらず、さらなる追加緩和も予想されるなか、債券への投資意欲が後退する兆しはみられません。こうした状況下では「金利のある債券」である20年物などの超長期国債への需要が加速する可能性も視野に入れる必要がありそうです。

ちなみに、債券のデュレーションについて、当面どのようなスタンスで臨む考えかを聞いた設問では「現状を維持する」が1月調査の79%から2月調査では73%に低下。その代わりに「やや長くする」が15%から21%へと上昇しました。


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