アナリストによる主要企業の業績予想の変化を示す「QUICKコンセンサスDI」(5月末時点)は、金融を含む全産業ベースでマイナス8だった。前月のマイナス2から6ポイント悪化。製造業、非製造業ともにマイナスとなった。個別銘柄では日揮(1963)の純利益の下方修正率が最も大きくなった半面、エーザイ(4523)やアドバンテスト(6857)の上方修正率が大きくなった。
※QUICKコンセンサスDIとは
アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出する。DIがマイナスなら、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っていることを意味している。5社以上のアナリストが予想している銘柄が対象で、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかが分かる。
製造業DIはマイナス圏へ
製造業DIは前月比10ポイント低下のマイナス8だった。輸送用機器や非鉄金属をはじめ弱気見通しが全体的に増えるなか、医薬品セクターはプラスに転じた。
サービス業などに対する弱気見通しが増えた結果、非製造業DIは前月から2ポイント悪化のマイナス8となった。算出対象の16業種中でDIがプラス(上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回る)なのは8業種。一方、マイナス(下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回る)の業種は6業種、変化なしは2業種だった。
エーザイやアドバンテストには強気
個別銘柄を対象に3カ月前と比較して、純利益の下方修正率が最も大きかった銘柄はプラント建設大手の日揮だった。市場予想の平均であるQUICKコンセンサス(5社、5月29日時点)によると、日揮の19年3月期の連結純利益は119億4000万円だ。会社側が見込む(5月10日時点)前期比39.7%減の100億円にアナリスト予想も近づきつつある。
QUICKは国内上場企業の2期先の業績予想を算出するツール「QUICK Forecast 企業業績」を提供している。3月期決算企業の多くは2019年3月期の業績予想を開示しているが、同ツールなら20年3月期の予想値もはじき出せる。企業収益の方向性を探るのに便利だ。日揮の20年3月期の連結純利益は今期会社計画比2.6倍の260億円と急回復するもようだ。
そのほか、下方修正率が大きい銘柄のランキング上位にはLINE(3938)やDeNA(2432)などネット関連が目立った。
一方、製薬大手エーザイ(4523)や半導体テスター大手アドバンテスト(6857)は業績拡大期待が高まる。上方修正率が大きい銘柄のランキング上位に顔を見せたアドバンテストは、「IoT」(モノのインターネット化)の浸透などから半導体需要の拡大が続くとの見方が背景にあるようだ。
銘柄数の内訳は「強気」が78銘柄、「変化なし」は141銘柄、「弱気」銘柄は101銘柄だった。(根岸てるみ)