欧州中央銀行(ECB)による量的金融緩和縮小の観測から、主要通貨に対してユーロ独歩高が進んできました。こうしたなか、今後のユーロ相場を占ううえで重要なイベントといえば、10月のECB理事会でしょう。量的緩和に関する政策の行方やユーロ・円相場の見通しについて外国為替市場の担当者に聞きました。調査期間は9月11~14日、回答者数は74人です。
※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。
年内のユーロ円は130~140円の見通し
ECBのドラギ総裁は9月の理事会後の記者会見で量的緩和縮小について初期的な議論をしたと述べ、10月25~26日開催の次回会合で大筋を決定すると話しました。外国為替市場の担当者にECBは量的緩和について10月にどんな方向性を打ち出すか聞いたところ、「量的緩和の緩やかな縮小」が9割以上を占めました。
一方、ユーロについては19日、対円で1ユーロ=133円台半ばと2015年12月以来1年9か月ぶりの高値を付けました。対ドルでは1ユーロ=1.2ドル台を挟んだ水準で推移しています。ドラギ総裁は9月の理事会後にユーロ高を強くけん制したものの、影響は限定的です。ECBの量的緩和の縮小観測が広がる一方、足元では米国のハリケーンの被害拡大により米連邦準備理事会(FRB)が年内利上げに動きにくいとの見方や、北朝鮮問題への懸念がユーロ買いの背景にあります。
年内の円とドルの対ユーロ相場の見通しについて市場関係者に聞いたところ、ユーロ円相場については「130~140円」が5割を超え、次いで「130円前後」が38%でした。ユーロドルでは「1.20ドル前後」が36%と最も多く、次いで「1.15~1.20ドル」と「1.20~1.25ドル」が29%と意見が割れました。市場関係者からは「朝鮮半島情勢の緊張が続く中で、円買い、ドル売りが出やすい。地理的に遠く、ECBが政策正常化を模索しているユーロが消去法で買われやすい地合い」といった意見が聞かれました。
事業法人の前提為替レートは109円台後半
毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは9月末の平均値で1ドル=109円93銭と、8月調査(110円69銭)から円高にシフト。3カ月後の11月末には110円33銭、6カ月後の2月末には111円48銭との予想です。今後6カ月程度を想定した注目の為替変動要因は、円が「政治/外交」、ドルとユーロが「金利/金融政策」でした。
ファンドの運用担当者に外貨建て資産の組入状況について聞いたところ、「ニュートラル」が前回の80%から73%に低下した一方、「アンダーウエート」が前回調査から9ポイント上昇の9%となりました。また、事業法人の業績予想の前提為替レートは平均値で1ドル=110円44銭、1ユーロ=119円93銭と現在の水準より円高予想のため、為替差益が生じる可能性もありそうです。