上場企業の2017年7~9月期の決算発表が本格化している。ピークの11月10日には約530社が決算発表を予定する。東証1部だけで2000を超える企業が上場しており、それぞれの決算や業績予想の修正を細かくチェックして株価の動向を読み、投資に生かすのは容易ではない。
そこで役立つのがAI(人工知能)を用いた決算分析だ。QUICKが提供する自動解析ニュース「AI速報」は決算や業績予想の修正を発表した企業を対象に、統計的に株価インパクトを数値化したスコア(決算スコア)を算出する。ある企業の決算スコアがプラス1.00になった場合は、過去のデータを踏まえ平均的に株価が1%上昇する決算内容だとAIが評価したことを意味する。
たとえば10月25日の取引終了後に2017年4~9月期の連結決算を発表したファナック(6954)。人件費が上昇する中国をはじめ工場の自動化需要で産業用ロボットの販売が伸び、純利益は前年同期比43%増の857億円となった。2018年3月期の通期見通しについては前期比29%増の1649億円と、従来予想を334億円引き上げた。決算発表前の24日時点での通期の純利益予想(QUICKコンセンサス、14社)は1549億円で、ファナックが明らかにした新しい業績予想はこの水準を大きく上回った。
決算スコアはファナックの4~9月期決算についてプラス2.63、業績修正についてもプラス3.43とポジティブに評価。翌26日の株価は上昇率が一時6%を超え、年初来高値を更新した。
証券会社のアナリストがあまりカバーしていない銘柄についても決算スコアを算出している。担当アナリストのいない宇野澤組鉄工所(6396)についてAI速報が算出した決算スコアはプラス7.90。液晶製造装置向けの真空ポンプが堅調で24日の取引時間終了後に利益予想を上方修正したためで、翌25日の株価は20%近い上昇となった。
AI速報の決算スコアを使えば、各企業の決算や業績修正のおおまかな評価を瞬時に判断できる。決算発表が集中する日はもちろんのこと、普段からこまめにチェックすることで、これまで知らなかった有望銘柄の発掘につながるかもしれない。