東芝に対する投資家の目が厳しくなっている。QUICKが実施した6月の月次調査(株式)では機関投資家の約7割が東芝は上場廃止すべきと答えた。不正会計の発覚や決算発表の延期を繰り返す東芝の上場に関する問題は、市場がどうあるべきかとの問いにもつながる。
東芝が4月11日に発表した決算について、監査法人は適正ではなく「意見不表明」と判断した。東芝が現在でも上場維持していることを機関投資家はどう思っているのか。6月の月次調査で証券会社や投信投資顧問、銀行など147人に聞いた。
東芝が「上場廃止すべき」と答えたのは全体の67%だった。「上場維持すべき」は24%、「その他」は8%だった。
「厳しく制裁与えるべき」、「国策企業なので慢心があるのではないか」との声
上場廃止すべきと答えた投資家からは「マーケット・従業員・顧客の信頼を裏切った企業には厳しく制裁を与えるべき」「単純に粉飾で上場廃止でよい」「東芝は国策企業なので許されていいという慢心があるのではないか」と厳しい意見が相次いだ。
東芝は2015年4月にインフラ工事の会計処理に問題があったと発表、その後に不正会計や巨額の減損、決算発表の延期など企業統治(コーポレートガバナンス)の問題が続出した。
東芝が上場を維持している間、東芝以外のほぼ全ての上場企業は東京証券取引所のルールを守って決算発表を期限内に行い、監査法人から決算について適正意見をもらっている。
上場廃止か維持かは「東証が決めるべきこと」との意見も
大きな問題が起きても上場が維持できるという実績が残り続ける場合、日本の資本市場の信頼を損なう。さらに、他の企業にとって東芝が上場維持できるのだからガバナンスに問題があっても大丈夫というお墨付きを与えかねない。
東芝が上場を廃止か維持すべきかについて、機関投資家からは「東証が決めるべきこと」と中立の立場をとる意見も目立った。東証は東芝の今後をどう判断するのか。投資家保護や企業のモラルハザード(倫理の欠如)の観点からも注目が高まっている。
【QUICKコンテンツ編集グループ:片野哲也】
(QUICK NewsLine)