フランスの第1回目の大統領選挙が4月23日と、あと6日に迫りました。米国ではトランプ政権が誕生し、英国は欧州連合(EU)からの離脱を決定するなど自国第一を掲げるポピュリズム(大衆迎合主義)が世界で勢いづいています。こうしたなか、フランスの選挙が注目されています。世論調査ではユーロ圏からの離脱を公言している極右派のルペン候補が躍進し、現在のところ支持率がトップです。そこで、今回はフランス大統領選が為替相場へどのような影響を与えるのか、金融機関や運用会社など外国為替担当者70人に聞いてみました。
仏大統領選、極右派ルペン氏が勝つとマーケットはどうなる?
もし極右派のルペン氏が投票で1位になった場合、各マーケットはどのように動くと予想しますか? と質問したところ、半数以上が円は対ドルおよび対ユーロで「強含む」(円高)との見方を示しました。一方、ユーロ・ドル相場ではユーロが「弱含む」(ユーロ安)が6割を占め、フランスの政治リスクが高まる局面では円が買われる展開になるとみているようです。
市場関係者からは、第1回投票でのルペン氏勝利はある程度相場織り込まれているとの見方もある半面、「第1回投票で1位となったとしても、僅差であれば第2回投票で敗退と市場は判断し、影響は限定的とみる。ただし、万が一、大勝すれば円買いユーロ売りとなろう」「決選投票で大統領になる可能性は低く、仮に大統領になったとしても、フランス議会でEU離脱の憲法改正は困難と思われ、フランスの離脱は実現しない」といった声が聞かれました。
<極右派ルペン氏が1位になった場合、外国為替相場はどう動く?>
今後の中国がマーケットに影響をもたらすものは?
トランプ大統領は4月6~7日、米フロリダ州にある別荘に中国の習近平国家主席を招待し、米中首脳会談を開きました。この会談中、米国はシリアへのミサイル攻撃を実施。米国は必要があればシリアだけでなく北朝鮮への武力行使も辞さない、と中国側に示す意図もあったようです。会談でトランプ氏は核・ミサイル開発を続ける北朝鮮を抑止するため、中国に対して北朝鮮へ圧力を強めるよう求めました。
こうした中、2017年に中国がマーケットに大きな影響をもたらすとすれば、何が原因でしょうか、と質問。最も多かった回答は「不動産市場の調整」で35%、次いで「トランプ米大統領との関係」が33%、「信用引き締め」が20%、「北朝鮮との関係」は7%という結果になりました。
また、2016年末は1ドル=6.9467元でしたが、2017年の人民元は対米ドルでどのように推移するでしょうか、と聞いたところ最も多かった回答は「中国当局が容認するレベルの人民元弱含み」が半数以上を占めました。
市場関係者からは「北朝鮮問題で米国と中国が何を握ったかによって情勢は大きくかわってくる。報道されているように習主席が政権維持のために北朝鮮問題で譲歩し貿易問題などを勝ち取ったのであれば、中国リスクにたいする懸念は後退したものと考える」などの声がありました。
市場関係者は政治と外交を注視
毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは4月末の平均値で1ドル=110円38銭と、3月調査(114円03銭)に比べて円高にシフト。3カ月後の6月末には111円46銭、6カ月後の9月末には112円43銭との予想です。今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、「政治と外交」でした。
ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのか聞いたところ「アンダーウエート」が前月の13%から20%に上昇し、為替リスクに対して消極的に傾いています。
事業法人に業績予想の前提為替レートを聞いたところ、有効回答数9社の円相場の平均値は対ドルで1ドル=110円24銭、有効回答数5社平均の対ユーロが1ユーロ=121円51銭でした。
*QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。今回は「QUICK月次調査<外為>」4月調査から結果を抜粋しています。調査期間は4月10~13日。