証券会社や銀行など、外為市場関係者を対象に毎月実施している市場心理調査「QUICK月次調査<外為>」の2月調査を2月13日に発表しました。今回の調査ではトランプ政権が外国為替相場へ与える影響や、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策などついて聞きました。
トランプ政権が日本に強く要求することとは?
トランプ政権が対日外交において最も要求を強めることとは何だと思いますか?と質問したところ、「米国向け投資の拡大」との回答が全体の6割弱を占めました。次いで「自動車貿易の不公平是正」が24%と続きました。また、トランプ政権下でFRBの金融政策は「タカ派に傾斜する」と回答した人が5割に達したほか、次の追加利上げ時期については「6月」との見方が最も多くなりました。
ある銀行の回答者は「現状の景気、インフレ動向からみて6月利上げの可能性は高いと思われる」との声が聞かれました。また、FRBは年内に3回利上げを実施する可能性が高いなか、ある信託銀行では「米トランプ政権の経済対策による景気押し上げ効果の大半は来年以降に実現する見込み。こうしたなか、FRBの金融引き締めは慎重に進められる公算が大きく、年内の利上げは2回と想定している」との見方もありました。
一方、日銀の金融政策はトランプ政権の影響をどの程度受けるでしょうか、と聞いたところ約5割が「ある程度受ける」、3割強が「あまり受けない」と影響は限定的と見ているようです。加えて日銀の年内の金融政策についても聞いたところ、「現状維持」が8割超を占めました。
プロの予想は目先1ドル=112円台半ばと円高方向にシフト
毎月定点調査している為替相場見通しによると、金融機関の外為業務担当者の為替見通しは、2月末の平均値で1ドル=112円58銭と、1月調査(114円04銭)に比べて円高にシフト。3カ月後の4月末には112円85銭、6カ月後の7月末には113円87銭との予想です。
今後6カ月程度を想定した為替変動要因で注目されるものとしては、円が「金利/金融政策」と「政治/外交」、ドルとユーロはともに「政治/外交」でした。
企業の前提為替レートは109円台後半
ファンドの外貨建て資産の組入状況について、当面どのようなスタンスで臨むのかを聞いたところ、「ニュートラル」が前月の50%から63%へ、「アンダーウエート」が10%から25%へと上昇する一方、「オーバーウエート」は27ポイント低下して13%となりました。市場参加者の慎重姿勢が高まっていることがうかがえます。
事業法人に業績予想の前提為替レートを聞いたところ、有効回答数11社の円相場の平均値は対ドルで1ドル=109円97銭、有効回答数5社平均の対ユーロが1ユーロ=121円51銭でした。
※調査期間は2月6~9日、回答者数は金融機関、運用会社および事業法人の為替担当者74人